がんの在宅療養 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクト
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緩和ケアを学ぼう会 特別編 2017 鶴岡・三川/がん患者さんの療養を地域で支える
【語らいタイム】「鶴岡・三川地域の在宅ケアについて考える」

テーマ1:がんの在宅療養に関わってよくなったと思うことは?
テーマ2:よりよい地域にしていくためにわたしたちにできることは?

司会: 和泉典子さん(鶴岡市立荘内病院 内科・緩和ケアチーム)
モデレーター: 渡邊清高さん
和泉さん:第1部では講師の先生方のお話を聞いていただきました。第2部では、参加いただいた方たちに、3、4名のグループに分かれて、2つのテーマについて語り合っていただきます。

鶴岡地域ではがんの緩和ケア普及のためにさまざまな連携をつくる取り組みを始めてから、ちょうど区切りの年、10年目です。今日、ここで語り合っていただくことが、あらためてこれまでやってきたこと、まだやっていないことなどを、また患者さんとどう関わってきたか、考えていただくきっかけになればと思います。

よくないところだけ出し合ったり、誰かのせいにしてもいい方向にいかないと思うので、「やってきて変わった」「よくなった」と思うところとか、「知識が得られた」と思うところ、「関われてこういうところがよかった」というところを出し合ってください。そこからもう一歩前に出て、自分自身がどういうふうに変われたら、もう少しいいかなど、実現可能な範囲で意見交換していただいて、それぞれが新しい視点のもとでがんばっていけるような話ができればと思います。

最初に自己紹介でウォーミングアップとして、がん患者さん、ご家族にどのように関わってきたか、がん患者さんに関わった経験のない方は、ふだんどのようなお仕事をしているかをお話しください。同じ地域で異なる立場の人がどのようにがんばっているかを知ることもできると思います。また、2番目のテーマについては、自分の立場でがん患者さんとご家族の支援に関して、今後取り組んでいきたいと思うことなども出していただければと思います。

討論の後で、どんな議論をされたのかをうかがいたいと思います。時間的に全部のグループから聞くことはできませんので、ぜひ皆さんと共有したいと思われる方は、積極的に発表していただけばと思います。

<グループ討論>

渡邊さん:皆さんの間を回りながら、勤務されている事業所や施設、職種が違うと、視点が違うということを興味深く聴かせていただきました。どのようなお話をされたのか、発表していただきたいと思います。
語らいタイム 風景
高橋牧郎さん(鶴岡協立病院 医師)
いろいろ話した中で、全体的には連携することで何でもお願いしやすくなったとか、よくなった点が出ました。その中で私の感想めいたコメントを申し上げます。施設での看取りが多くなっていますけれど、患者さんの重症度が高くなったときに施設にいられなくなるということも起こってくるのかもしれない。もしそこで対応ができないというときに、患者さん、ご家族を在宅療養で支えられるのか。地域力ということでいうと、在宅も含まれますが、施設力ということでは、施設はどこまで応えられるのか、能力を上げることが課題なのではないか。グループの2人が施設の方でしたので、そういう話になりました。施設力については、さきほどのホームホスピスのお話にすごく感動して、この地域でもそうした施設があるといいね、そうした施設をつくることができるといいなということを話しました。
語らいタイム 風景
渡邊さん:個人の患者さんに対する能力、個人力ということと、チームの力、そして地域の力がお互いに連携する地域力ということを考えていくのが、とても大事です。施設の方と病院の方が話されることで、そうしたことを感じられたことと思います。
篠田太朗さん(ハート調剤薬局七日町店 薬剤師)
このグループは3人で、病院の看護師さん、薬剤師と訪問のヘルパーさんでした。緩和医療に関わるようになって、仕事のやりがいが増えた、また患者さんから教えられることがとても多くて、家族にやさしくなれたとか、そんな話が出ました。
語らいタイム 風景
渡邊さん:専門職種がどう関わればいいのか、緩和ケアや在宅療養はいろいろな職種が関わる横断的な領域ですので、「自分しかできない」ではなくて、ほかの職種の方と「協力してやる」ことで、患者さんやご家族の支援も違うものになるかなと思います。緩和ケアや在宅療養について、いろいろなところで研修会をさせていただくのですが、多職種の連携が話題になっています。自分一人で解決しようと思うと大変なので、連携が重要になりますね。
原田真弓さん(鶴岡市立荘内病院 地域医療連携室 保健師)
このグループでは、今までなかった情報を聞かせてくださる方がいました。この4月から地域連携室が立ち上がったということで、看取りを介して看護師として緩和ケアなどにも関わられ、病院との連携も実際にどのようにしているのか、そのことをご紹介いただけたらと思います。
語らいタイム 風景
菅原汐さん(特別養護老人ホームしおん荘 連携相談室 看護師)
今お話があったように、しおん荘では4月に連携相談室というのを立ち上げました。その仕事の内容としては、医療に関することと、特養の入居の後のリハビリのことなどがあります。認知症の重度の方、また精神疾患を持って入居される方が多数いらっしゃる中で、やはり病院との連携、ご家族との連携を一つに絞って、そこから支援していこうということでやっています。その中でトラブルが少なくなったというのが、一つ大きな変化だと思います。いろいろなところから、いろいろな言葉を発信すると誤解されやすいのですが、相談室を通すことで、いろいろな方との関わりがすごく円滑になったことと、情報を共有できるようになっています。特にがんの患者さんの場合は、病院との連携が大事です。現在、2名のがん患者さんがいらっしゃいますが、市内の病院じゃないところでの連携もさせていただいたりしています。そうしたことをやりながら、情報の共有をして、それぞれが専門分野を活かしながら関わっていくというのが、すごくいいのかなと思っています。
渡邊さん:病院から行く先に特養もありますが、在宅の最後で困ったときに病院につなげるという、お互いに相談できることを知っていただくだけでも安心できると思います。医療系の介入が必要だとか、あるいは介護のサポートが必要だということが、自分はできなくても、どこにつなげばいいのか、ここに相談すればいいですというようなことを伝えてあげるだけでも、患者さんは安心されます。お集まりの皆さんが、お互いどんなことをやっていらっしゃるのかを知るだけでも、ここで話し合っていただいた意義があると思います。
三原一郎さん(三原皮膚科医院 医師)
僕らのグループは、がんの在宅医療に関わっているというところを、庄内プロジェクトに置き換えて話し合いました。一つは訪問看護師が増えたということ、レベルがだいぶ上がりましたねという意見が出ました。また地域全般に緩和ケアに関して知識が上がった。それから庄内プロジェクトという活動が、ほかの活動、例えば薬剤師会であったり歯科医師会であったり、他分野の人たちも庄内プロジェクトの外でいろいろな連携のための活動を行ってきたということ。やはり話題になったのが施設看取りをこれからどうやって進めるのか、ということです。さきほどのホームホスピスのお話の中で、看護師や医者がいなくても外付けで看取りができるというお話は、大変参考になりました。これから当地域でも施設での看取りを増やしていくために、訪問看護師、ケアマネジャー、医師も含めて、施設で看取れるような仕組みづくりを早くしなくてはいけないかなという話もしました。

これからの多死時代を迎えて、死生観というか、死に対しての住民の考え方をどうしていくのかということでも話し合いがあったのですが、そこで、宗教ってすごいねと。宗教は、神に召されるわけで、だから死ぬのが恐くない。たぶん、がんでも若くして亡くなる人と、80代で亡くなる人の死生観は違う。僕も高齢の患者さんによく聞くのですが、「もう長く生きなくていいや、早く死にてぇや」と言う人はけっこう多いのです。高齢になると、けっこう死というのは当たり前に思っている人が多くて、あまりがんばらなくてもいい。医療じゃなく、地域に戻したほうがいいというお話がありましたが、みんなもそう考えてくれているのではないかと。

ただ僕の経験で、妻が若くしてがんになったときに、やはりがんになった若い人に死の話はできないんです。例えば最期は病院がいいの、自宅がいいのなんて話はしません。ですので、やはり元気なうちから、その人の最期を考える、若いときから「俺は在宅で死ぬんだ」とか言っておかないと、結局は施設とか病院で亡くなることになるので、そのへんは、元気なうちにご家族とかと話し合っておくといいのではないかと思います。
語らいタイム 風景
渡邊さん:年齢の高い方でも、若い方でも、本人の思い、在宅がいいのか、病院とか施設がいいのかということを引き出すきっかけがなかなかつかみにくいことが多いです。そういった意味でも、いろいろな職種の方が関わることで、話しやすい環境づくりができるかなと思います。
鈴木聡さん(鶴岡市立荘内病院 医師)
1番目のテーマ、よくなったと思うことをまとめますと、いろんな職種の人が活躍している、活動しているわけですが、お互いの職種の重要性を理解できたということです。お互いにリスペクトできるような間柄になったのが、よかった。2番目のテーマ、これからどうしていけばよくなるかということの一つとしては、やはり知識、スキルを磨かないといけない。庄内プロジェクトも10年たちますと、勉強するところとそうでないところ、勉強する人とそうでない人に二分化されるんですね。それをなんとか解決していかないと、未来はないということ。

治療の継続性ということで、これは薬剤師さんから言われたことですが、調剤薬局の薬剤師さんがずっと患者さんを在宅でみていても、大きなイベント、すなわち入院してしまうと、その人の病歴が切れてしまう。そこに訪問薬剤師が介入する意味があるのではないか。つまり病院でのカンファレンスに積極的に参加することが必要ではないか。退院前のカンファレンスにはけっこう来ていただいていますが、入院中の連携というところです。

もう1点、我々医療者はこのようにいろいろやっていても、住民の方はどのように思っているのかというのが、なかなか見えてこない。三原先生は、元気なときに死について考えておくということを話されました。いわばアドバンス・ケア・プランニング(ACP)ですが、それを入院している人に言ってもしょうがないというか、効果が見えない。ですから我々が地域に出向いていって、そこで会話を繰り返しながら、ACPなどについて話をする機会を設ける必要があります。それが次の段階ではないかというふうに思っています。
語らいタイム 風景
渡邊さん:一般の方、市民の方に、患者さんになってからではなくて、ご家族も含めて、がんになる前から語りかけるべきではないかというご提案をいただいて、次の計画が見えてきたかなと思います。実りのあるお話ができて、おもしろかったのではないかと思います。庄内プロジェクトを始めて10年で、ある程度、かたちになってきて、現場でも成果があったと思います。それをどう市民にアピールし、伝えていくかという課題も出ました。こうした取り組みを続けられるように、いかに続けるかということについて、とても勉強になりました。どうもありがとうございました。

掲載日:2018年1月9日
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