がんの在宅療養 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクトfacebook

地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報
普及と活用プロジェクトについて

「がんの在宅療養 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクト」ウェブサイトを訪問してくださいまして、ありがとうございます。

日本人が一生のうちに何らかのがんにかかる方が2人に1人という現在において、がんという病気や治療について正しく理解し、緩和ケアの意義や目指すところを知ることはますます重要になってきています。信頼できる情報のもとに、患者さんやご家族ひとりひとりが住み慣れた地域で活用できる身近な医療・療養資源に関する情報を得ることは、がんになっても安心して暮らすことのできる第一歩になります。

2007年にがん対策基本法が施行され、患者家族・医療者など、立場を超えた関係者が手を携えてがん対策を一体となって推進しようとする枠組みが定められました。具体的な行動計画となるがん対策推進基本計画や、都道府県のがん対策推進計画に基づいて、がん診療に関するガイドラインの策定や、がんに関する冊子など信頼できるがん情報の作成などがなされ、がんに関する知識や治療の流れなど、情報の基盤は整備されつつあります。しかしながら、全国の各地域の実情や療養環境に適したかたちでの情報提供や支援の取り組みが、そこに住まう住民や患者さんご家族に届いているかと問えば、まだ道半ばといえます。それぞれの地域ごとに「がん患者さんの療養支援と緩和ケア」をいかに構築していくかが、今後の課題となります。

本プロジェクトでは、さまざまな組織からなる学際的なグループとして、がん医療および在宅緩和ケアの専門家に加えて、死生学や宗教学を専門とする人文社会科学系の研究者が密接に協働する取り組みを進めてきました。また2012年から2014年まで「がん医療フォーラム」(国立がん研究センターがん対策情報センター)を開催してまいりました。

がん医療フォーラム2014「がん患者さんとご家族を地域で支える仕組みづくり」
がん医療フォーラム2013「がんと共生できる社会づくり」
がん医療フォーラム2012「地域で支える新しいがん医療のかたち」

そこでの議論や参加者の方からいただいたご意見やアンケートやヒアリングなどを経て、冊子「ご家族のための がん患者と家族をつなぐ 在宅療養ガイド がん患者さんが安心してわが家で過ごすために」を作成しました。この在宅療養ガイドは「緩和ケア」「在宅支援」「グリーフケア」などの要素を盛り込み、全人的な患者・家族向け支援を実現することを目指しています。

カット

がん患者さんが安心してわが家で過ごすために
ご家族のためのがん患者さんとご家族をつなぐ在宅療養ガイド

がん医療フォーラムでは、よりよい情報づくりやコミュニケーションに向けた提案だけでなく、来たるべき超高齢社会に向けて、療養介護に関わる家族向けの情報や支援の必要性、地域社会を含めた療養環境の充実など、多くの関係者が一体となって取り組んでいくことが重要であるとの意見をいただいております。本プロジェクトでは、より役に立つ、信頼できる情報づくりのためにさまざまな地域においてフォーラムや研修会を開催し、アンケート・ヒアリングや調査研究を行って地域における医療や療養支援を推進するためのエッセンスを引き出していきたいと考え活動してまいりました。ウェブサイトから開催記録やアンケート結果をご覧いただけます。

活動・フォーラム

2019年末から急速に国内外で拡大している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のもと、在宅で過ごすがんを患った方、家族の方そして親しい方々は、これまでにない不安や心配を感じながら日々を過ごしていらっしゃると思います。このプロジェクトでは、対面でのフォーラムや研修会が困難になった2020年以降も、現在の治療や療養・ケア、普段の過ごし方、生活上の注意点など、継続して「必要で、役に立つ、参考になる」情報を収集してきました。対面での相談や受診が難しいなか、インターネットや電話、ソーシャルネットワーク(SNS)などを上手く活用して、意思疎通ができるようになっています。とはいえ、物理的にも精神的にも距離を置いてやりとりすることに、疎外感を感じていることも多いと思われます。住み慣れた家で、地域で安心して暮らせるために、そして、対話(コミュニケーション)によって少しでも心の距離を縮めるために役立つ情報を、ウェブサイトやSNSなどでご紹介していきます。

「地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクト」においては、患者家族、医療関係者、学術団体、自治体、行政、メディア、企業などの多様な立場の方々と連動しながら、地域における連携や教育研修、住民や患者家族への啓発の場面などを通して地域の実情に応じた支援のあり方を追求し、情報提供や相談支援の充実やがん患者とその家族を地域で支える仕組みづくりに取り組み、「住み慣れた地域において、患者と家族に寄り添う緩和ケア」の実現に向けて展開してまいります。関係の皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げるとともに、このウェブサイトが、がん患者さんとご家族を支える仕組みづくりのきっかけとなりますよう、ご支援ご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年9月
地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報
普及と活用プロジェクト プロジェクトリーダー
渡邊 清高 (帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科)

プロジェクトメンバー

渡邊 清高/帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 教授(腫瘍内科学・がん情報)
東京大学医学部卒。医学博士(消化器・肝臓内科)。内科、救命救急研修を経て、東京大学医学部消化器内科、国立がん研究センターがん対策情報センターを経て2014年より現職。患者・家族、一般市民、医療従事者、研究者向けなど、信頼できるがんに関する情報発信と、現場のニーズに応じた普及の取り組みを実践しています。
的場 元弘/青森県立中央病院 緩和医療科(緩和医療学)
北里大学医学部卒。医学博士。オハイオ州立大学研究員、北里大学医学部麻酔科講師、国立がんセンターがん対策情報センター、同中央病院緩和医療科長、日本赤十字社医療センター科長を経て2018年より現職。がん疼痛と症状緩和に関する多施設共同臨床研究会(SCORE-G)を主宰。わかりやすい緩和ケアの情報発信と現場に即したエビデンス構築を重点に活動しています。現在、がん臨床研究事業を軸に、施設単位でのがん疼痛治療成績の指標(除痛率)の確立に向けた研究の代表。著書に「がん疼痛治療レシピ」(春秋社)、がん疼痛緩和ケアQ&A(じほう)。
清水 哲郎/岩手保健医療大学 臨床倫理研究センター長(臨床倫理・死生学)
東京大学理学部天文学科卒、東京都立大学博士課程修了(文学博士)。北海道大学助教授、東北大学教授、東京大学特任教授などを経て、2017年度より現職。医療の専門家と対話しつつ進める医療現場の哲学を試み、臨床倫理学・臨床死生学のプロジェクトに力を入れています。著書に『医療現場に臨む哲学』、『医療現場に臨む哲学IIことばに与る私たち』(勁草書房)、『医療・介護のための死生学入門』(共編著 東京大学出版会)など。
唐渡 敦也/公益財団法人がん研究会 がん研有明病院 検体検査部・生理検査部(緩和ケア)
東京慈恵会医科大学卒、国立がんセンター中央病院 呼吸器内科レジデントを経て癌研病院(呼吸器内科)、2004年より現職、がん専門病院としてのBSC(バランスコア・カード)導入・継続・改善に従事し、患者さん・ご家族、医療従事者、チーム医療、医療機関などのさまざまな視点に基づいた相談支援・連携業務の改善に専従しています。
河原 正典/医療法人社団爽秋会 岡部医院仙台 院長(緩和医療・在宅緩和ケア)
1999年 福島県立医科大学医学部卒。外科医として、仙台医療センター、仙台厚生病院に勤務。2008年4月より岡部医院に勤務し、故・岡部健氏とともに仙台圏の在宅緩和ケアに取り組み、現在は、全国の在宅緩和ケア・緩和医療の普及について取り組んでいます。
田代 志門/東北大学大学院文学研究科 准教授(社会学・生命倫理学)
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。東京大学特任助教、昭和大学講師、国立がん研究センター生命倫理部長を経て、2019年より現職。緩和ケアの現場でのフィールドワークを通じて患者・家族の体験を聞き取り、その成果を広く社会に発信していく方法を模索しています。
掲載日:2015年10月15日 更新日:2024年4月1日
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