がんの在宅療養 地域におけるがん患者の緩和ケアと療養支援情報 普及と活用プロジェクト
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HOME > 在宅療養ガイド > 第1章 在宅での療養を始める > 1-2.一緒に療養を支えるパートナーを探す

1-2.一緒に療養を支えるパートナーを探す

1-2-1.一緒に療養を支える在宅支援チームとめぐり合うために

がんを患った方が自宅療養するときには、地域で訪問診療ができる医師、訪問看護師、薬剤師、理学療法士、 言語聴覚士などの医療職種や、ケアマネジャー、ヘルパーなどの介護・福祉職の支援が必要です。

地域によっては、がんの在宅緩和ケアを専門に取り組んでいる在宅緩和ケアチームがあり、多職種間で患者さんの情報を共有して円滑にケアが提供されています。しかし、必ずしも全国でこうした在宅緩和ケアチームが普及しているわけではなく、これからの充実が望まれています。

一方で、在宅緩和ケアを専門にしていなくても、がん患者さんの自宅療養のケアの経験があれば、地域の医師や看護師、ケアマネジャーをはじめとする多くの職種がチームとなって必要なケアを提供することができます。住み慣れた地域で、一緒に療養を支える在宅支援チームとめぐり合って、自宅療養に必要な医療やケアを得ていくことができるように、ポイントを確認していきましょう。

イラスト

家族Sさん自宅での療養では、どのような方たちが関わるのでしょうか。お医者さんや看護師さんにお世話になるのはわかりますが。

相談員Nさんそうですね、ご自宅での療養のケアは、医療だけでなく介護・福祉の、さまざまな職種や組織の人たちが協力して行うのが一般的です。主な職種は、在宅診療を行う医師、訪問看護ステーションの看護師、薬局の薬剤師、そしてケアマネジャー、ホームヘルパーなどです。それに加え、理学療法士や作業療法士、管理栄養士や福祉用具専門相談員などで構成されます。患者さんの支援の状況によっては、ご本人とご家族の生活や心を支えるために、医イラスト療ソーシャルワーカー、心理士、宗教者や、ボランティアの支援が得られる場合があります。訪問する職種や回数などについては、状況に応じて相談できます。いろいろな視点からの支援を活用することで、心穏やかな生活を送ることができます。

家族Sさんたくさんの方々が自宅での療養に関わることがあるのですね。確かに、病院に入院していたときも、医師や看護師さん、薬剤師さん、放射線技師さん、栄養士さんたちがチームで治療にあたってくださいました。

相談員Nさんはい、チームでケアにあたるのは、自宅療養でも同じです。チームによる医療や在宅支援のよさは、それぞれの専門職が専門性を十分に発揮しながら、一致した方針に従ってよりよい治療やケアを提供できることです。確かにはじめの頃には、たくさんの方が自宅に訪問することに戸惑う方もいらっしゃいますが、自宅での療養に不安がいっぱいだった方でも、専門の医療・福祉職の人たちから、ケアや介護のやり方を具体的に教わり、適切なケアを受けることで、少しずつなじんできて安心して自宅で過ごせるようになったという方がたくさんいます。

家族Sさん私の地域で、良い医療・介護職や在宅支援チームは、どうやって探せばいいのでしょうか。

相談員Nさん訪問診療できる医師の情報は、それまで治療にあたっていた病院の担当医や、病院の相談窓口、地域連携室、地域包括支援センターなどで得られます。病院のがんサロンや、隣近所のいわゆる口コミ、インターネットなども情報源となります。また、ご本人やご家族の健康状態や家庭背景を昔からよく知っているかかりつけ医がいたら、訪問診療をしてもらうことが可能か、尋ねてみるのもよいでしょう。

ケアマネジャーの多くは居宅介護支援事業所などに所属しています。介護保険を申請すると、地域の居宅介護支援事業所などのリストが送られてきます。その前に病院の相談窓口や地域包括支援センターなどで、あなたの希望や家庭の状況などを話して相談してみることもひとつです。何かアドバイスをもらっておくとよいと思います。

現在、できる限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最終段階まで続けることができるよう、地域の包括的な支援やサービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築が推進されており、地域での支援サービスや連携が充実してきています。まずは情報を集めるところからはじめましょう。

家族Sさんイラスト近隣のかかりつけの先生も訪問診療を始めたようです。かかりつけ医に来てもらってもよいのでしょうか。

相談員Nさんもちろん、以前からの知り合いで気心の知れている“かかりつけ医”に看取りも含めてお願いできれば安心です。一方、かかりつけの医師が在宅の訪問診療を行う場合であっても、がん患者さんの終末期や看取りに対応していない場合もあります。医療用麻薬や点滴の管理など、必要な薬が処方できるか、いつでも相談できるか、急変時の対応をどのようにするか、など事前に確認をしておくと安心だと思います。

◆◆◆

在宅支援チームにつながる情報源は多様です。まずは病院の相談窓口や地域包括支援センターなどで実際に話を聞いてみましょう。心配ごとや、相談したいことについて話し合うことで、参考になるヒントや支援とつながるきっかけが増えていき、少しずつ支援の体制が整ってきます。また、“ベスト”な在宅支援チームはそれぞれのご家庭の考え方によって異なるものです。在宅医には最低限の在宅緩和ケアの知識は持っていてもらいたいものですが、在宅医の方針が、本人や家族の望む在宅での療養に合うとは限りません。できれ ばいくつかの在宅医や居宅介護支援事業所を訪問し、相談してみるのもよいでしょう。

☆POINT
  • 在宅支援チームとの関係づくりが、在宅療養の質を左右する。
  • 地域の在宅支援チームと出会うために、病院の相談窓口や地域連携室を利用して情報を収集する。
  • まず支援チームの鍵となる在宅医とケアマネジャーを探す。
  • 在宅医やケアマネジャーに事前によく相談してから、依頼するかどうかを決める。

1-2-2.在宅支援チームとの関わり方のコツ

在宅療養が始まる前の不安は、患者さん本人と同じくらい、あるいはそれ以上に家族のほうが大きいかもしれません。十分な介護ができるかという心配のほかに、在宅を支えるスタッフとうまくやっていけるのかが気がかりという方もおられるでしょう。このような不安は、在宅支援チームとの信頼関係が築かれるにつれ、解消されていくはずです。チームとの関わり方について考えていきましょう。

家族Sさんイラスト支援してくれる方々だと頭ではわかっていても、自宅にいろいろな人が、代わる代わる入り込んでくるという状況がなかなか想像できません。主人も私もどちらかというと、人見知りするほうなので、新しく来る方になじめるかどうか、相性が合わなかったらどうしようとか、少し不安です。

相談員Nさんはじめはお互いに初対面ですので、緊張するかもしれません。でも、お客さんのようにもてなすわけではありませんし、何度か訪問を経験するうちに慣イラストれていくでしょう。それになんといっても、自宅はご本人やご家族にとってはホームグラウンド。やりとりを重ねるなかで、自然と病院にいるよりも率直に相談できるようになると思います。

まれに患者さんご本人が、「他人に弱っていく姿を見られたくない」「他人の手を借りたくない」という気持ちから、ホームヘルパーなど介護スタッフの受け入れに難色を示すこともあります。その場合の対応はひとそれぞれですが、ほとんどは日々のケアを通じて信頼関係が築かれていきます。ご本人、ご家族の予定や生活スタイルに応じて訪問日時や訪問回数を調整することもできます。

家族Sさん信頼関係が大切なのはよくわかります。私たち家族は、在宅支援チームの方々とどのように接すればよいのでしょうか。

相談員Nさんイラスト在宅での療養が始まると、いろいろな心配事や困りごと、疑問などが出てくると思います。それらは書きとめてリストにし、スタッフが訪問するときに聞くようにするといいと思います。何をサポートしてほしいのか、どんなことに困っているのかを伝え、在宅支援チームの知恵や経験、考え方とすり合わせながら解決に向かっていく、という一連のやりとりの過程で信頼関係が育まれていきます。

家族Sさん私たちが主体的にならないといけないのですね。


相談員Nさんそうですね。在宅支援チームとともに問題を一つひとつ解決していこうという姿勢が大切であり、その意味では患者さんご本人やご家族も支援チームの一員といえるかもしれません。在宅支援スタッフは、ご本人とご家族の気持ちをくみ取ることをとても大事にしています。ご家族が在宅支援チームにイラスト心を開くことによって、残された時間を豊かなものにし、穏やかで自然な生活を最期のときまで続けるという共通の目的に向かって力強く踏み出すことができるでしょう。

家族Sさんでも、そんな気力を持ち続けられるか心配です。


相談員Nさんそうですね、心配される方は多いのですが、在宅支援チームは介護をする方のことを気にかけています。つらいときは素直に気持ちをあらわして構いません。訪問看護師やケアマネジャーなどに愚痴をこぼしたってよいのです。療養や介護を支えるご家族のストレスを理解したうえでご家族の心と身体のケアを行うのも、在宅支援チームの大切な役割です。

家族Sさんそれは大変心強いです。ほかに何か聞いておくことはありますか。


相談員Nさんそうですね。この時期の患者さんは、容貌や状態が大きく変わっていくことがあります。急な変化にご家族が動揺してしまうこともあります。折をみて在宅医や訪問看護師から、看取りまでの見通しや、今後どのような変化があらわれるか説明があると思います。心配なときは、「これからどんなふうになっていきますか」「どんなことに気をつけ、準備しておけばよいですか」などと遠慮なく尋ねましょう。これから起こりうることについて事前に知っておくことは、つらいかもしれませんが、見通しがわかることで、介護にかかるストレスや不安を減らすことにつながります。

家族Sさんとにもかくにも、まず、訪問してもらうことから始まりますね。


相談員Nさん何度か訪問を重ねるうちに、在宅支援チームの人柄もわかってお互いを理解し合えるようになるでしょう。余裕がでてきたら、ご本人やご家族の思い出話や大切なエピソードなどを在宅支援チームにお話しください。ご本人、ご家族が大切にしていることをスタッフが理解できれば、十分に言葉を交わさなくとも、ご本人、ご家族の考えや好みを尊重したケアを提供してもらえるようになるでしょう。

また、在宅支援チームは、プロとして訪問しますので、お客様のようにもてなす必要もなく、事前に家の中を片付けたり、お茶を準備したりする必要もありません。

◆◆◆

家族と在宅支援チームは、本人を中心に、穏やかで自然な看取りを迎えるという共通の目標に向かう一つのチームだということができます。在宅支援チームは多様なケアの手立てをもっています。制度の枠組みの中で行うため、希望したサービスが十分受けられない場合もあります。しかし、別の代わりとなるケアが受けられることもありますので、訪問看護師やケアマネジャーとよく話し合いましょう。

☆POINT
  • 患者さん本人も家族も在宅支援チームの一員。
  • 在宅支援チームとの信頼関係を築く。
  • サポートしてほしいことを明確に伝える、何度もしっかり伝えることが大切。
  • 家族自身の悩みや不安も支援チームに相談する。
ご家族の体験談

チームプレーでQOLアップ

広島県 50歳代 女性

夫は「多重がん」と診断されて、いつ、どこに転移や再発をするのかわからない状態で不安を抱えながらの療養生活でした。そんなときに24時間体制で在宅医を始められた医師を紹介していただきました。医師もまだ手探り状態のなか、担当医との連絡を取っていただきながらの在宅生活でした。夜中の異変にも対応していただける心強さは本人にとっても家族にとっても安心の重要なポイントでした。また、日頃ケアしてくれる訪問看護師さんに加え、在宅リハビリテーションをしてくださる理学療法士さん、薬を持ってきてくださる薬剤師さんなど、在宅でも多くの方々に関わっていただけることが心強く、安心して生活できました。

スタッフと二人三脚で歩むために

ご本人、ご家族の意向や生活スタイル、価値観は、実に多様です。お一人おひとりの好みやスタイルを言葉にしたり見せたりすることで、医療や介護のスタッフにどうぞお伝えください。話し合いを重ねることにより、ご本人、ご家族と在宅支援スタッフがお互いを理解し合い、住み慣れた環境のもとで満足できる在宅療養をつくり上げていくことができます。自宅での医療や介護を担う在宅支援スタッフについては、地域によって役割分担や連携が進みにくいところもあるなど、課題があるのも現状です。ご本人、ご家族が満足できたという声や、経験の積み重ねで、医療、介護のスタッフ、そして地域が育ちます。

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掲載日:2015年12月21日
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