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がん医療フォーラム2017 がん患者さんを地域で支える 市民が望むがん医療と福祉のかたちとは
【第1部】シンポジウム がんとの共生 市民が望む医療・福祉のあり方を考える

がん相談支援センターの立場から
-患者さんの思いと経験をつなぐ-
坂本 はと恵さん(国立がん研究センター東病院 がん相談支援センター 医療ソーシャルワーカー)

坂本 はと恵さん
坂本 はと恵さん
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がん患者さんの支援制度を知っていますか?

最初に皆さんにお聞きしたいことがあります。もし今、自分ががんだと診断されて、ご自身が受けられる支援制度のことを、「十分知っています」「自信があります」という方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。手を挙げてみていただけますか。なんと、ゼロみたいですね。

でも大丈夫です、そういうものです。恥ずかしいことではありません。そのくらい情報は煩雑です。もしそういう必要に迫られたとき、困ったなというとき、どこにアクセスすればいいのかということについて、今日、ヒントを得ていただければと思います。実は手を挙げなかったけど、身近な方で経験をしたことがあって、ちょっとは知っているという方に関しては、制度というのは年々変わっていきますので、その変化を聞き漏らしていることがあるかもしれない。新しくなっている制度はどうなっているのか、という着眼点でお聞きいただければと思っています。

がん患者さんの不安と戸惑い

もしもそういう状況になったときにソーシャルワーカーなどにお聞きにならなくても「なんとかなる、自分の力で調べてちゃんとします」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。でも、がんのような悪い知らせを受けたときに、どのような状況に置かれるのか。海外の精神科の先生は、がんの告知について、「患者さんの将来への見通しを根底から否定的に変えてしまうもの」と表現されています。実際、それは告知のときだけではありません。

私は相談を毎日受けていますが、がんの診断の初期のところから、また次の段階でももちろん、「この先どうなるのだろうか」と、非常に強い衝撃を受けられるのは確かです。さらに退院のときに、「周りの方にどうやってこの先、伝えていったらいいのか」と悩まれる。またご家族にとっても、患者さんご本人が担っていた役割を自分が代わっていくとなったときに、「自分の仕事はどうしたらいいんだろうか」、そういった戸惑いがあります。

再発や転移といったことが今後出てくるかもしれないというなかで、若い世代の方ですと、「昇進試験を受けるべきかどうか」など、すごく揺さぶられる。また「子どもを持つべきなのかどうなのか」「もし産んだ後に再発したらどうなるんだろうか」。そのように人生の価値観というものを揺さぶられる、そういう病気であることが、わかり始めています。

「がん相談支援センター」でできること

私が所属しているがん相談支援センターは、治療に直結するようなご相談であったり、雇用や経済面、終わりの見えない医療費の負担をどう軽減したらいいのか、「ほかの患者さんはどうしているんですか」というお話をうかがいます。こうした方に、先に歩んできた患者さんの経験をお伝えしたり、渡邊さんがご紹介されたさまざまな情報をお伝えしながら、患者さんにとって少しでも心理的なご負担が軽減されるような工夫をお手伝いさせていただいています。

がん相談支援センターには、診断のときから最期のお看取りのときまで、さまざまな情報が300種類くらい置かれています。これを患者さんの必要に応じてお渡ししたり、また第2部のフォーラムで出てこられるさまざまな在宅の関係者の方々と一緒に患者さんを交えた話し合いをして、少しでもご心配を減らして家に帰る準備をします。ときには再就職のご相談などを外部の社会保険労務士さんとか、ハローワークの方々にも来ていただきながら、お話をしているところです。

医療だけではなく、こういったいわゆる暮らしのご相談をどうして病院の中でやっていくのか。いくつか理由があります。繰り返しになりますが、ひとつは制度とか情報は非常に煩雑です。日本における社会制度というのは基本的に自己申請制です。ご自身にとって必要な制度はどれなのか、ある程度限定し、的確な窓口に行き、「私はこれ使います」と言って、初めて利用できる仕組みです。知らない人はずっと知らない、そういう状況が生じてしまいかねません。

本来であれば、がんと診断されて非常にパワーレスになっている方に対して、昔であれば個人的なサポーター、親戚の方、近所の方であるとか、かかりつけのお医者さんがいろいろ教えてくださったかもしれません。身内のサポーターが減っている中で、誰がもっとも患者さんに出会う頻度が高いかというと、例えばがん患者さんの場合、基本的には病院に通っておられます。病院のスタッフがこういった社会的なことをよく理解して、患者さんに伝えていく、それがひとつできることではないかということで、病院の中に「がん相談支援センター」という窓口ができた、そういった経緯があります。

心のつらさとか、生活のつらさをそのままにしてしまうと、ときにそれが絡まり合ってというか、治療の中断につながりかねないということがあります。ですから、ぜひ我慢せずに気軽に聞いてくださいというのが、我々がいつも皆さんにお伝えしているメッセージです。
講演の様子
講演の様子

かん患者さんが直面する苦悩

実際にがんと診断された皆さんは、どういうことに直面しているのかをご紹介したいと思います。患者さんの苦悩というのは、時代とともに変わってきています。35年ほど前は、患者さんにとってつらいと思うのは吐き気や脱毛、身体のつらさが上位にありました。20年くらい前になってくると、少しずつ家族への影響や仕事への影響が上位に出てきます。そして15年前になりますと家族、仕事、社会活動への影響が、治療中にすごくつらいと思うことの上位に上がってきて、脱毛など身体のつらさに関することは相対的に見ると少し下がっています。

これは国の政策として、がん治療の身体的なつらさをできるだけ和らげましょうという、「支持療法」が開発されてきたという経緯もあります。裏返すと、社会的なつらさ、仕事や家族のことがらについて、より注目をして「どんなことができるのか」という議論が少し立ち後れていた、そういう現れでもあります。

ただ忘れてはならないのは、2007年にがん対策基本法が成立して以来、こういった生活にまつわる患者さんのつらさをどうキャッチし、情報を集約し、また支援をしていくかということが、少しずつ検討されているので、皆さんのお手元に伝わればと思っているところです。

経済的な負担と高額医療費制度

例えば、家族への影響というところでまとめると、お金ですとか介護の問題があげれます。肺がんの抗がん剤治療で使われるニボルマブという薬を聞いたことがあるでしょうか。とても高額で、1か月の薬代は10割負担では約66万円です。2016年はこの2倍の130万円を越える薬価がかかっていました。これが非常に大きな議論となりまして、2017年4月に緊急薬価改定で半額にはなりました。それでも10割でこの金額で、皆さんの保険の負担金(1割か3割)に応じて医療費がかかることになる状況です。

一般的に高額療養費制度を使っていただくのですが、それでも一番お安い方でひと月に15,000円くらいの医療費の上限、高い方だとひと月に10数万円の医療費がかかります。この高額療養費制度も、あくまでも自分から申請をして初めて使える制度です。もし病院にかかるようなことがあったら、がん医療は基本的には高額療養費制度を使えるものだと理解をして、自分から申請をしていただきたいと思います。付け加えれば、高額療養費制度の自己負担金額も毎年変わりつつあります。今年も改定がありましたし、来年もあると公表されています。変化していないか、年に1回くらいはチェックをしていただくといいと思います。

少子高齢化社会で減るサポーター

そしてご家族への影響というところで、もうひとつ。サポーターは今後おそらく減少していくことがわかっています。千葉県全体で見ても、柏市だけを切り取ってみても、全国で有数の高齢化地域であることは、皆さんお住まいの中でご存じかもしれません。全国的に見ても65歳以上でお一人暮らしの方、あるいはご夫婦のみの世帯が2005年の時点で852万世帯であったのが、2030年には1.5倍、1,286万世帯に増えるということがわかっています。なかでも認知症と診断を受ける方が4倍に増えるということも推計されています。この方々を誰が支えるのか。

本来であれば身内のみんなで力を合わせて、経済的にも物理的にも支援をしたところですが、少子高齢化社会というのを皆さん耳にしていると思います。子どもさんが減ってきています。例えば2005年の時点では3.3人の若者が1人の高齢者を支える家族構造でしたが、あと10数年後には1.8人の若者が1人の高齢者を支えるところまで人口の構造が変わってくることが、すでにわかっています。

がんの治療を受けながら、そして少し足腰も弱った状態でおうちに帰る。また、先ほどお示ししたような高額な医療費もある程度支援をしなければいけない。それを1.8人の若者でまかなっていくのは、なかなか難しい現実があります。だからこそ、皆さんぜひ今のうちから、柏にはこれだけのさまざまなサポーターがいることを知っていただいて、上手に活用していただければというところです。

在宅で治療し、最期まで過ごせる時代に

働く世代、仕事をしている世代ががんになったときにどういう問題があるのか。がんになる前に勤めていた仕事をやめる方は2割から3割いらっしゃることはすでにわかっています。またご家族も、一緒に仕事をやめざるを得ないということもわかっています。いつ離職、仕事をやめることを決断したのかについて、がんの疑いという説明を受けたときから、「仕事をやめるべきだろうか」と悩んで決断をする方もいらっしゃる。がんになっても必ずしも死に直結するわけではありませんので、まずは立ち止まって、やめずに、これからの治療の経過、見通しを聞いた上で決断をすることを、皆さんにお伝えしているところです。

社会生活や仕事に直結するところでもありますが、今はがんの治療も、お看取りも自宅でできるようになっており、それが推進されている時代です。国立がん研究センター東病院の入院期間のデータでは、2002年に緩和ケア病棟に入院された患者さんは、だいたい25日くらい入院していましたが、今は10日間くらいになっています。一般病床の入院期間も昔は20日くらい入院していましたけど、今は2週間弱で退院される時代です。

これがどういう問題をもたらすのか。周囲の皆さん、例えばご近所の方、あるいは職場の方に、がん治療は継続しているけれども、家で過ごせることを知らせる必要がある。知らせることのつらさというものを、時々皆さん言葉にされます。でも見方を変えると、一歩踏み出せるかもしれません。

経験を伝えて、誰かを救う

こういう仕事をしているとき、「これから訪問看護師さんを利用するといいかもしれませんね」とお話しすると、2種類の答えが返ってきます。ひとつは、訪問看護ステーションという名前の入った車が家の近くに止まると、「あの人、具合が悪いんだよ」とうわさされるからいやだ、という言葉。もうひとつは、「ああ、訪問看護ステーション、隣の人も利用していて、すごくよかったと言っていました。うちも来てくれるなら、できれば同じところがいいな」ということです。

ご自身のことを隠さずに、こういう経験をした、こういうところがよかった、そういうことを近所の方々の一人、一人が経験をつないでいくということで、誰かが救われるかもしれません。それを誰にも言わずに隠しながら過ごすと、いい事例があったとしても、それが利用につながらない。そういう実態があるわけです。ぜひ皆さんも、もしも経験をしたら、また身近に経験されていそうな方がいたら、どういうサポートがあったのか聞いてみてください。それがあなたの明日、あるいは10年後を救うかもしれないし、誰かを救うかもしれません。そういうことをお伝えしておきたいと思います。

公的制度の限界

公的制度の限界を付け加えておきます。いろいろな制度があります。高額療養費制度についてお話ししましたし、介護保険を財源とした在宅サービスにも少し触れました。40歳以上の方はだいたいの制度が使えますけれど、15歳から39歳までの若い方は、まだまだ全部はカバーできないという実態があります。高額療養費制度なども使ったとしても、一定の医療費の負担が免れないので、それを補うかたちでの生命保険の加入をお勧めしています。私は別に生命保険会社の関係者ではないですが、公的制度の限界ということを早い段階でよく知って、生命保険などで補うというのは、「自分はここで過ごしたい」「どういうふうに過ごしたい」ということに対しての支えになる可能性があるということで、お伝えしておきたいと思います。

自宅に帰る備え

今日のテーマである、「どこで過ごしたいか」、住み慣れた場所で過ごすというのを実現するということについて。平成24年の調査によれば、「介護が必要になった場合にどこで過ごしたいか」という質問に対して、「自宅で過ごしたい」という人が3人に1人くらいでした。「最期を迎えるのはどこが一番望ましいか」については、だいたい半数が「最期まで自宅で過ごしたい」とおっしゃっている。しかし現実は、23.4%の方だけがご自宅で最期まで過ごすということを実現している。ほかの方は何かしらの要因で実現できてないという現実がおありのようです。

実際に、おうちに帰りたいという方とお話しする中で、具体的にどういうふうに帰る準備をしているのかイメージしていただきたいので、ある患者さんの例をご紹介します。50歳代の女性で、ご主人と小学生の娘さんと3人暮らしでした。この方は乳がんの手術をして5年経過し、がんセンター卒業だよと言われて、先生が握手をして診察室を出た1週間後に再発が見つかったという、特殊な状況の方です。腰痛がするけど、がんは寛解したと言われたから近所の整形外科に行ったら、おそらくがんからきているものなので、すぐにがんセンターに行きなさいと言われて戻ってこられた。うちの病院に戻ってきた時点で、ご本人に残されている時間は1か月、2か月という状態でした。ご本人が聞きたいということで、主治医がお話しした際に、「どこで過ごしたいですか」と聞いたときに、次のようなことをおっしゃいました。

「私と過ごした自宅での思い出が、痛みで苦しみ救急車で運ばれた記憶にならないようにしたい」
「子どもに、教えてあげたいことがある。電子レンジの使い方、鍵の閉め方、大人との付き合い方」
「できるだけ、身内の助けは借りずに家族だけで過ごしたい」
「こうしたことを実現できるだろうか。何も準備していない。何も知らない」

この患者さんの娘さんは、少し発達障害かもしれないということで、病院通いを始めたところでした。自分がいなくなった後、お父さんが家にいない間に一人で生活ができるよう、それくらいのことはきちんと伝えたい。帰るなら、できればご自身のお母さん、お姉さんといった方からの助けを受けずに過ごしたい。でも、実現できるだろうか。そんなふうにおっしゃっていました。結果としていろいろお手伝いしましたが、患者さんの家族を中心として、がんセンターの中では緩和ケアの先生、臨床心理士、看護師、私が関わりながら、その娘さんに対して、「どうお母さんのがんについて伝えるか」を一緒に考えてお伝えしました。私自身は、訪問診療をしてくださる先生や訪問看護師、また患者さんは歩くのが少しつらい状態だったので、どういう福祉用具を入れると安全にトイレまで行けるのかを考えたりしました。

この患者さんが希望された、「娘さんと一緒に食事をつくる、食べる、一緒に寝る」といったこと。娘さんに少し障害がおありとはいっても、一緒にご飯を食べなければ意味がないわけです。ここに制度の限界がありました。ご本人が介護保険を使って食事をつくるサービスを受けることはできますが、娘さんの食事に介護保険は使えません。家族の食事まではつくれないという限界があります。それに対して、娘さんの病院側のスタッフと協力して、娘さんについても利用できるように、制度の活用を一緒にしました。

ご主人も病気をお持ちでしたので、パワーレスな状態で会社を休むためにどういう手続きをすればいいか、一緒に整理をしながらお手伝いをしたという経緯があります。お一人の患者さんのことかもしれませんが、多くの関係者がおうちに帰るために動くことができます。ご希望を聞きながら、何が制度の限界かを整理して、またその限界をどう打破したらいいのか、関係者に一生懸命お話を聞きます。ヘルパーさんの事業所も、本来ならば患者さんお一人に対してなのですが、なんとか同じ事業所から、ある程度人を固定して行きますよといった、柔軟性をもった対応をしてくださいました。みんなで知恵を絞りながらやったわけです。

残念ながら、この方は退院の当日に急変して、お帰りになることはかないませんでした。後日、ご主人が来てくださいました。「最後まで、『こんな状況だからもう帰らなくていいですよ』という医療者は誰もいなかった。『帰りたい』という希望を最後の最後までなんとかかなえようと、みんなが一生懸命になってくださった。それが我々家族にとっての、最期の日までの希望でした」とおっしゃっていました。公的制度の限界とか、柔軟な対応策の地域差とかいろいろなことがありますが、地域まるごとで理解をし、また制度の枠を越えて何ができるのかということを、この柏市の関係者はみんな一生懸命考えてくださっています。ぜひそのことを、今日は覚えて帰っていただければと思います。

在宅療養を支える柏市の取り組みの進展

今日のテーマになぞらえながら私の話をまとめます。住み慣れたまちで最期を在宅で過ごすということ、柏市は変化しています。制度は変化すると申し上げましたが、柏市の訪問診療を担う在宅療養支援診療所、看護ステーションは倍増しています。それによって柏市内の診療所による在宅で看取られた方も2010年の47人から2014年には189人に増えました。

病院も少しずつ変わろうとしています。患者さん、経験者の方を支えるためにという思いで、例えば入院期間が短くなっていることからがん治療にまつわるさまざまな情報を得られる機会が減ってきていますので、お医者さんや栄養士さん、あるいは我々も診察室以外、病棟以外で患者さんとの触れ合いの場を少しずつ増やしています。うちの病院では月に半分くらいの日数に、何かしらの教室とか、患者さん同士、また関係者も交わりながら話をする場を設けさせていただいています。

社会活動を少しでも円滑にするための取り組みもあります。例えば、抗がん剤治療で肌がくすむといったことがあり、それが恥ずかしくて仕事に行くのがつらい、あるいは近所の人に会うのがおっくうだという方がけっこういらっしゃいます。化粧品会社の方々にご協力いただきながら、カバーメークの方法などを伝達する場を設けさせていただいています。また社会労務士さんやハローワークの方々も入っている。医療の現場ですが、医療者以外も積極的に入ってきながら、皆さんをお支えするということを始めています。

相談したいときが、相談するとき

「相談したいと思ったときが相談のしどき」だ、ということをぜひ覚えていてください。在宅でお看取りという、そのときだけが相談のしどきではないのです。もしもそういうことを想定した場合に、「自分の近所にはどういう方がいらっしゃるのか」ということでもいいですし、治療中に少しでも疑問に思ったことがあれば声をかけてください。うちの病院でいろいろな取り組みを始める中で、かつては緩和ケアについての患者さんのご相談がほとんどだったのに、昨年は治療前の方が増えてきています。また抗がん剤治療中の方の相談もずいぶん増えました。相談支援センターというと、何か困窮した方が戸を叩くようなイメージがあるかもしれませんが、そういう場所では必ずしもないです、気軽にお立ち寄りいただければと思います。

最後に、まず市民の皆さんに送りたいメッセージとしては、知らないことは、けっこうあるんだなと思ってみてください。知らなかったら不利益というのが、社会制度の中にはときどきあります。家族が病気なんだけど、私もがんと言われるかもしれないけれど、私の知らないどういうことがあるのか教えてください、という気持ちでお立ち寄りいただく。それが、皆さんががんになったとしても、安心して暮らせる一歩だと思います。

制度をよりよくするために

そして、制度は経験者のニーズに基づいて変化するものだということを、皆さんにお伝えしておきたいと思います。経験してつらかったこと、打破できなかったこと、いろいろあるかもしれません。そういったことを、ぜひ隠さないでください。身近にいる民生委員さん、あるいはかかりつけの先生とか身近な医師会の先生たちに伝えてみてください。そういった声をひとつ、ひとつつなぎ合わせて、新しい制度のあり方につながっていくものなのです。ぜひそのことを忘れずにいていただきたいと思います。

私はがん相談支援センターで社会福祉の専門家として、皆さんのお声を聞きながら、つらいと思っておられることが、人や制度につなぐことによって解決できそうなことであれば、つなぐお手伝いをさせていただきます。またそうしたことで解決できないことがらに関しては、皆さんのお話をひとつひとつお聞きしながら、決してがんになったからといって、皆さんの尊厳は失われたりしないということをお伝えできるように、そういう場づくり、時間づくりを明日からもしていきたいと思っています。

掲載日:2018年1月10日
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